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お電話で2020/3/29 メディア掲載
補助金制度についてもご紹介しています。
ご興味をお持ちの企業様は、ぜひご覧いただければと思います。また、ご相談、ご質問などございましたらお気軽に静岡冷工までお問い合わせください。
国産大豆と職人技
国産大豆のみを使い、職人の技を生かした製法で、深く、温かみのある味わいの豆腐を作る。日の出のポリシーは一貫している。
「豆腐は日本の伝統食品。だからこそ、国産大豆にこだわるのです」と語るのは、菊池秀之社長。
良質な国産原料を安定的に得るために、全国各地の生産者を自ら訪ね歩き、信頼を築き、徹底してフォローを続ける。そして、経営者になった今でも浸漬タンクの前に立ち、そのときの原料の顔色をうかがいながら最適なブレンドで大豆を投入する。
ルーツは1979年に開業した国産大豆と天然にがりの専門店。そのためか、原料へのあくなき追求は、決して揺るがされることのない風土として息づいているようだ。
どうしたらより良い大豆が得られるのか。その答えを求めるために、栃木県に直営農場も開いた。また、にがりは昔ながらの天然にがりを数種類選び、製品に合わせて独自に調合する。
原料の特性を最大限に発揮させるため、製法にもこだわる。
同社では、豆乳がまだ熱いうちににがりを入れて凝固させる方法を取り入れている。
大豆のうま味をより引き出せるからだ。だが、あっという間に凝固反応が始まってしまうため、均一に混ぜる作業には高い技術が求められる。
凝固反応をじっくり見ながら行う必要があるため、均一に混ぜる作業をじっくり見ながら行う必要があるため、機械ではなく、熟練の技を積んだ職人でなければできない。
「感覚によって微妙な変化や違いを確認しながら調整していく。私たちの製品作りには、不可欠な技術なのです」(同)
現在、同社には湯葉や充填豆腐、惣菜を作る本社工場(千葉県柏市)、揚げ物を作る第二工場(同)、絹ごし、木綿、寄せ豆腐を作る白井工場の三つの生産拠点があり、製品は主に関東圏の百貨店、スーパーなどに出荷されている。
夏場の冷却能力が不安定に
近年の豆腐作りでは、より日持ちを良くするため、以前と比べると工程が増えている。それは、包装後の加熱と急速冷却だ。
従って、温熱よ冷熱をつくり出すために多くのエネルギーが必要となる。
「芯温75℃以上まで加熱して、そこから一気に5℃以下まで冷やすわけですから、エネルギー負荷が大きいのは明らかですが、あくまで食品安全と品質が第一ですので安易や省エネには走れません。ただ、冷却についてはエネルギー負荷以外にもさまざまな面で課題が多く、より信頼性と効率性の高い技術がないかと常に考えていました」(同)
豆腐業界で使われる従来型の冷却装置は、冷媒を通す管(コイル)を冷却槽内に巡らせて水を冷やし、そこで製品を冷却するタイプが中心だった。
白井工場では、この約1時間かけて製品を冷やす。
仕組み自体はシンプルなのだが、実際の現場の全体的なシステムは複雑なものになってしまっていたという。
「これまでは冷却槽ごとに冷凍機が必要で、配管も入り乱れた感じになっていました。このため、清掃やメンテナンスが本当に大変だったのです。」(同)
夜間も稼働する同工場。冷凍機はほぼ1日中運転し続ける。現場を特に悩ませたのが、夏場の繁忙期を中心に冷却能力が非常に不安定になることだ。
設備自体の老朽化と構造上の理由もあったが、だからといって、規定の温度以下に必ず冷却しなければ、製品として出せない。
「一度の冷却で許容範囲まで温度を下げられない場合は、別の冷却槽に投入してもう一度冷やしたり、前工程のスピードを落としたしていました。このため、夏場の繁忙期はいつも作業時間が引き延ばされていました」(同)
補助金申請に挑戦
そんな課題を抱えていた中。同社は工場の機器のメンテナンスなどで長年取引のあった静岡冷工の平田社長から、蓄熱式アイスバンク設備の提案を受けた。東日本大震災の発生した2011年のことである。
震災による電力需給の問題も背中を押したが、菊池社長の知っている他社メーカーでも導入実績があったことが、検討を進めるための決定打となった。それでも、実際の導入に当たってはしばらく時間を要した。
品質を左右する冷却設備とはいえ、デフレの時代に数千万円の設備投資を実行に移すには、社内や取引先に対して説明できるだけの確固とした理由付けが必要だったからだという。
その理由付けを得るためんチャンスは13年9月に訪れた。
新システムの導入に「平成25年度補正予算エネルギー使用合理化事業者支援事業(通称、エネ合)」の補助金制度が活用できるとの情報を平田社長から得たのだ。
この制度は経済産業省が管轄し、(1社)環境共創イニシアチブ(以下、SII)が運営するもので、補助金対象経費の3分の1以内(1件当たり補助金上限額は50億円/年度)を返済不要で受け取れる。
申請条件は、既設設備またはシステムの置き換えにより「工場・事業所など全体のエネルギー使用量が1%以上削減できること」、または「省エネ量が原油換算で500kl以上になること」などで、こうした要件を満たせば生産設備についても対象になる。
補助率が高く要件自体も分かりやすいため魅力的ではあるが、申請書類の作成を含めた各種手続きはハードルが高い。
「少なくとも、私一人では無理でした。そこで、平田社長にエネルギー診断士とコンサルタントをご紹介いただき、レクチャーとサポートを受けながら、エナルギー診断データの取得や申請書類の作成などを進めました。」(同)
もっとも、工場のことは自分たちで情報を整理しなければならない。特に工程や設備などについては、相当精通している必要があると、平田社長は強調する。
「豆腐作りの工程から、冷凍機とは何か、その構造や配管はどうなっていて、能力はどれくらいか、さらに馬力と能力はどう違うのかなど、製造ラインや設備について初心者でも確実に分かるよう、SIIから細かい説明が求められるからです。その結果、申請書類は数百ページにも及ぶもになりました」
企業努力の証しと自信
申請は14年3月28日の締め切り直前に無事完了。
その後もSIIからの書類内容の指摘を受けたり、データの追加を要請されたりしたが、5月23日、念願の採択が通知された。
同社では、地元銀行系のリース会社を通じて設備費や設計費、工事費などを含め、リース契約で賄うことにした。これにより、投資コストを分散させられるようになるからである。
工事はSIIからのゴーサインを待って9月2日に着手、10月26日までに新システムが完成し、旧設備からの切り替えが完了した。
「決して易しい道のりではありませんでした。しかし、補助金を活用することには、投資コスト抑制だけではない大きな意義を感じています。
それは、企業努力の証しと国の認めた事業を行えたという自信が得られたことです」(菊池社長)
新システムの全体像
完成した新システムの全体像を図に示す。
左側には冷水を供給する蓄熱式アイスバンク設備と2台の冷凍機があり、そこから冷水を循環させるための3系統6本の配管が、包装と加熱を終えた豆腐を冷却する「クール槽(冷却槽)」「ボイル・クール槽(加熱装置と一体型の冷却槽)」まで直接延びているのが分かる。
蓄熱式アイスバンク設備の断熱タンク内には、「直膨コイル」という、冷凍機で冷やされた冷媒を通すための総延長約3000mにも及ぶ管が巡らされている。
冷媒の冷熱はこのコイルで交換され、それによりタンク内に蓄えられた約37tの水が冷却される。
冷水はここから各クール槽に分配され、使用後の温められた水はタンクに戻され、再び冷やされる。
コイルの方式にある「直膨」とは「直接膨張」のことを意味し、冷却する場所で直接冷媒を膨張させて熱を奪うため効率性が高い。
また、冷媒にはコイルの中で濃度や形状が均一になりにくいブライン(不凍液)ではなく、流動性の高いフロンガスを使用して、冷却の安定性を向上させている。
そして、新システムが最も省エネ効果を発揮する仕組みは、コイルの周囲に厚さ30mmほどの氷の層をつくることにある。
タンク内の水にはエアが送り込まれており、製氷と解氷をコントロールする。
「氷があることで、たとえ冷凍機の運転を止めても、長時間にわたってチラー水が供給できるようになります。
すると、外気温が低く、電気料金が割安な夜間に冷凍機を回して氷を作っておき、工場が稼働する昼間は冷凍機を止めてチラー水を供給するといった運用も可能になるわけです」(平田社長)
現在、システムの冷凍機は午後10時から翌朝8時までは2台、午前8時から同10時までは1台だけで運転するするように設定している。午前10時から午後8時までは全く運転していない。つまり、工場の稼働時に冷凍機が止まっているのだ。
取材時は冬であったが、驚くことに、それでも午後遅くでのチラー水の温度は0.7℃前後を維持していた。
目標値を大きく上回る
エネ合の補助金申請の最大ともいえるハードルは、新しい設備で省エネ効果を実証することだ。
同社では運転を開始して間もなくの11月10日、新システムだけについて毎日の消費電力が計測できる積算電力計も新たに設置しながら、そこから2ヶ月間のデータを取り、工場全体の消費電力が前年同時期に比べて、どのように変化したのかを検証した。
申請時の省エネ効果(消費電力削減)目標は、同時期の対前年比約4%だったが、検証ではそれを大きく大きく上回った。
「実際には1日単位の最大値で約22%の削減効果が表れました。目標値の5倍以上の消費電力をカットできたことになります。
この2ヶ月間は閑散期(11月)と繁忙期(12月と1月の初旬)の両方があり、稼働状況に応じた効果の違いをほぼカバーしていますが、年末年始の繁忙期でも17%以上をキープしているので、夏の繁忙期に向けても非常に期待できる数値が得られたと思います」(菊池社長)
この年末年始の繁忙期は出荷数が例年よりも微増だったとのことで、それに、示された省エネ効果を上げるためには、1月中旬から4月中旬くらいまでの中間期で、いかに無駄のない運転をするかという視点を持つことが重要になるという。
「出荷数に関わらず、冷凍機を必要以上に回してしまう可能性があるからです。現在の運転時間や温度設定が必ずしもその季節での条件として最適とはいえず、工場の作業時間も考慮しながら適宜改善する必要はあります」(平田社長)
工場のレベルアップへ
新システムの運用メリットは省エネだけではなかった。
「補助金申請から運用まで、現場と共にプロジェクトを進めてしましたから、この取り組みを通じて従業員に意識変化が見られたことが特に大きいです。
ユーティリティーに関することから温度管理、衛生管理、ランニングコストなどに至るまで、一つ一つの課題に自ら気付き、どうしたら改善できるのかを考えるようになってきているのは、本当にうれしいことですね」(菊池社長)
この意識変化については、ちょっとした仕掛けも後押しした。
設置工事に当たり、現場からも積極的に意見を聞いてもらうよう平田社長に依頼していたのだ。
「例えば配管の引き込みは、高過ぎると清掃ができない、低いと威圧感が出て背の高いものを運ぶ際にぶつかりやすくなるなど、何度も話し合いを重ねて決めました。
本当に使いやすい現場とは何か。
そこで働くスタッフたち自身が真剣に考えることが大切なのだと、私もあらためて気付かされました」(平田社長)
夏場の繁忙期を迎えるのはまだ先だがそういった時期においても生産時間が確実にん短縮されることが見込まれている。
なぜなら、先述のように冷却能力が落ちることで増えていた工程がそのまま削減できるからだ。
その時間を清掃や洗浄、殺菌、メンテナンス、次の日のための仕込みなどに回せるようになれば、より食品の安全性や生産の効率性を高められる。
エネ合の制度によると、今後も継続的に省エネ効果の検証を実施し、1年後に再び結果を報告する義務がある。申請時に目標値をクリアできなければ交付を取り消されることもあるため、このプロジェクトはまだ気が抜けない。だが、新システムの導入で実際に省エネ効果が表れたのを機に、むしろ前向きに新しい挑戦をしていこうというモチベーションが得られたと、菊池社長は語る。すでに具体的な取り組みもイメージしている。
「蓄熱式アイスバンク設備については、本社工場での導入も検討中です。また、ボイラーの排熱利用や照明器具のLED化なども考えています。従業員かたの提案や意見も増えていますので、このタイミングで工場のレベルアップを積極的に進めていきたいと思っています」
補助金について
環境省には、省CO2設備導入に対する補助金や、低炭素機器のリース料に対する補助金があります。
先進対策の効率的実施によるCO2排出量大幅削減事業(ASSET(アセット)事業)
CO2排出量削減に寄与する設備を導入する際に補助金が交付される。
空調、照明、ボイラー、冷凍・冷蔵設備、コンプレッサー、ヒートポンプなどの設備導入費が補助対象経費として認められる(後の詳述)
先進技術を利用した省エネ型自然冷媒機器及普及促進事業
温室効果の高い代替フロン(ハイドロフルオロカーボン)を使用していない省エネ型自然冷媒機器に転換した場合に補助される。
従来、冷凍・冷蔵機器を使用している冷凍冷蔵倉庫、冷凍冷蔵ショーケースなどを使用している食品小売店舗が対象だったが、15年度の予算要求では、対象に食品・飲料・氷の製造・加工工場の食品製造工場が加えられた。
予算要求額は14年度の約1・5倍に拡大され、食品製造工場には設備費用の3分の1が補助される見込み。
家庭・事業者向けエコリース促進事業
環境省がメーカーと型式を指定した特定機器のリース料に対して補助金が交付される。
資本金10億円未満の中小事業者を対象として、リース料総額の3〜5%が補助される。
公募期間中に予算があれば、随時受け付け・随時採択され、予算残高がなくなった時点で締め切られる点が、他の制度と異なる。
支援事業は14年度に実施されたものですが、15年度も継続されると見込まれています。
このほか、13年度の補正予算では環境省から「温室効果ガス排出削減による中小事業者等経営強化促進事業(二酸化炭素削減ポテンシャル診断事業)」が執行されています。
事業所全体でCO2排出量が年間50t以上3000t未満の中小事業所が対象で、温室効果ガス削減のための設備導入のほか、そのための診断にも補助金が交付されます。
定量的な診断結果によって意識が向上し、運用面・設備面が改善されることによってCO2削減につながることが期待されています。
省エネ・省CO2に寄与する設備への補助金が中心
これらの支援事業の中でも目玉となるのが、経産省の「エネ合」と環境省の「ASSET事業」です。
「エネ合」は、定期報告などで計算する原油換算値(kl)を効果的に減らす設備導入に際して、上限50億円として補助対象経費の3分の1以内、要件によっては2分の1以内の補助金が交付されます。
14年度から申請パターンがさまざまに増えておりますが、活用事例としては次の要件が挙げられます。
1.工場・事業所など全体のエネルギー使用量が1%以上削減されること
2.省エネルギー量が原油換算で500kl以上であること
3.補助対象経費1000万円当たりの耐用年数を考慮した省エネ量が200kl以上であること
4.前項1、2などと合わせてエネルギーマネジメントシステム(EMS)
をエネルギー管理支援サービス事業者と連携して導入すること(補助率が2分の1にアップ)
採択されるかどうかの評価項目は、省エネルギー効果、費用対効果、技術の先端性、政策的意義の四つです。
審査委員会による4項目の総合評価が高く、かつ事業の確実性・継続性が評価されたものから採択されていきます。
中でもエネルギーを前年度から何%削減できるかが重要なポイントと捉えており、まずは事業全体で1%以上の省エネ効果が出るのかどうかの確認んが必要です。
事業終了1年後には、申請した際の計画値を達成したかどうかの報告も義務付けられています。
昨今の申請の状況としては、小規模の事業所において1%を簡単にクリアしやすいようLED照明設置の申請件数が多くなっているように見受けられます。
一方「ASSET事業」は、CO2排出量が年間50t以上の工場で、導入設備の一つ以上を環境省に指定されたBAT(Best Available Technology)と呼ばれる先端設備を導入することが条件となっています。
採択されれば補助対象経費の3分の1以内(補助金上限2億円)の補助金が交付されます。
採択されるかどうかの評価項目は費用対効果です。
法定耐用年数期間において、CO2を1t削減するのに掛かる補助の金額低い順に採択されます。
つまり、「補助金交付申請額÷(CO2削減量×法定耐用年数)=円/t-CO2」の金額が小さいものから順位付けされて、予算額の達するまで採択されます。
この事業の予算は、14年度は29億円でした。15年度の予算額も29億円で同規模となっています。
補正予算における省エネ投資への補助金も注目
さらにもう一つ、注目する制度があります。
経産省の14年度の補正予算である「地域工場・中小企業等の省エネルギー設備導入制度」です。これは補正予算で今回限定となりますが、929.5億という非常に大きな予算が付いています。
対象は地域工場・中小企業とありますが、補助率の違いはあるものの大企業でも申請できそうです。
この制度にはA類型とB類型があり、A類型は「最新モデルの省エネ機器等の導入支援」、B類型は「地域の工場・オフィス・店舗などの省エネ促進」で、従来の「エネ合」に近いものになるようです。
このうちA類型は、各メーカーで最新モデル、かつ旧モデルと比較して年平均1%以上の省エネになる機器の導入に補助金が交付されるものです。
この最新モデルというのは、経産省が指定した業界団体に属するメーカーの機器で、その選定は現在進行中です。
補助金は工事費については対象になりませんが、機器の購入金額に対し、中小企業には2分の1、大企業には3分の1が支払われます。
この制度の目的は、地域の中小企業などがエネルギーコスト高を乗り越えるために省エネ投資することに対して緊急支援を行い、結果として経済活動の活性化につなげることだとみられます。この制度は、例年の補正予算の公募時期と同様、3月ごろに公募が始まると見込んでいます。
省エネ関連の補助金で生産設備更新の採択が増加
省エネ関連の支援事業の予算額は増額傾向にあります。同時に、補助金を活用している事業者も年々増えています。
資源エネルギー庁の報告によると、予算額は10年度の50億円に対して14年度には329億円(13年度補正含む)まで、申請件数は10年度の336件に対して14年度には3552件(同)まで、採択件数は10年度の152件に対して2469件まで伸びています(同)。
予算額が減額された13年度も、消費増税の影響もあったためか申請件数が伸びています。採択されている事業の内容を見ると、主に三つの傾向が見られます。
まず、最近では特にLED照明の更新事業が多い傾向にあります。
予算額が減額された13年度は、比較的更新計画しやすいLED照明が特に増えました。
採択件数の大半を占めることもあり、13年度補正で500件弱がLED照明でした。
14年度も700件を超えています。
各メーカーが多様な器具を取り揃えており、省エネ効果が見えやすい設備であるため申請が増えているのではと考えられます。
また注目すべき点として、生産プロセスの設備更新の採択事例が増えていることが挙げられます。
理由は、エネルギー基本計画に製造プロセスの省エネ推進が織り込まれているためだと考えられます。
具体的には、射出成形機、高効率工作機械、高効率精米機など、バラエティーに富んだ更新事業が含まれています。
つまり、「生産設備を更新することにより原単位を減らす」ということであれば、補助金を受けられる可能性があるということです。
さらに、公募内容の変更によって対象が広がっていることもお伝えしたいことです。
12年度までは更新前のスペックを超える設備は補助の対象から外れていましたが、13年度からは更新前の設備のスペックを超える設備の導入が、条件付きで認められるようになりました。
申請には多くの手続きと時間が必要
このように事業所における設備導入に際して、魅力的な補助金制度ですが、注意しなければいけないことがあります。
1.国の予算を使って補助を受けるわけですから、申請にどうしても多くの手続きと時間がかかります。社内には申請業務を担う担当者を置く必要があり、申請書類に担当者情報も記載します。
2.申請業務は、申請した時点で終了ではありません。申請後も書類の不備がある場合などに、事務局からは担当者に随時問い合わせが入ります。審査のスケジュールもあることから、すぐに回答しなければならないケースが多く、担当者には迅速な対応が求められます。そして、担当者の業務は採択後の発注から設備導入前・中・後まで至ります。申請書類の作成を通常の業務と並行して担当し、随時フォローできる方はそう多くないのではないでしょうか。
3.事業所の省エネ診断については、設備メーカーやエンジニアリング会社から提案を受けるケースが多く、また(一財)省エネルギーセンターや都道府県による診断を受けているのを見ることがあります。このような提案を受けたものに対して、補助金申請時には、申請者は導入効果や導入規模(範囲・金額など)をしっかり確認しておく必要があります。
4.申請は時間の余裕を持って行う必要があるでしょう。公募期間は1ヶ月程度で、事前にしっかりと導入計画を練り上げておかないと、公募の締め切りに間に合わなくなるためです。また、申請の時点では基本的に機器メーカーは指定できず、採択されてから発注する際に機器メーカーを決定します。その設備・機器の納期や工期の管理が重要です。特に公募時期が遅い場合は注意が必要です。
5.申請時には通常1社の参考見積もりを提出しますが、採択後の発注をする前に3社の入札(合見積もり)を行います。交付決定通知書(採択の証し)に記載の補助金金額より多く補助金を受けられることはありませんし、見積もりの内容を勝手に変えてはいけません。
6.補助金を受けた設備は、補助金適正化法(正式名は「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」)に基づき法定耐用年数の期間、効率化運用をして使用することが義務付けられています。例えば、空調やボイラーを15年で資産登録したとして、15年以内に事業所の建て替えなどによって補助金を受けた設備を撤去する場合は、その時点の残存薄価をベースに算出した補助金の返却を求められるケースがあります。
以上のように補助金の申請手続きおよびその後の設備管理においては、注意しておくべきポイントが複数あります。
補助金申請時のコツと手順
当然ではありますが、補助金の申請手続きを無事に完了できたとしても、必ずしも採択されるとは限りません。従って、事業所ごとに設備導入にマッチした補助金を選ぶことがポイントです。
同じ設備導入であっても、一方の補助金では「不採択」、もう一方に申請していれば「採択」だということはあり得ます。
補助金の詳細な情報をどれだけキャッチするかということが重要だといえます。
補助金は同一の設備に対して重複して採択を受けることはできませんので、注意が必要です。
実際に補助金申請を計画するとしましょう。
まず初めにすることは、事業所全体のエネルギー使用量の現状把握です。照明・設備の電力やボイラーの燃料は年間どのくらい使用しているのかなど、現状の設備の使用状況を把握します。
消費エネルギーの割合が大きい設備から優先的に省エネルギーの割合が大きい設備から優先的に省エネ化を検討し、導入するべき設備が決まったら、導入設備の想定エネルギー消費量を試算します。
次に、申請する内容について、補助金要件に適合するかを確認します。
初めに現状把握しておけば、どの補助金制度に申請すべきか判断ができます。
例えば事業所全体に対して高い省エネ効果を得られそうであれば「エネ合」、CO2削減効果が大きいが、事業所全体の省エネ率が低い場合などは「ASSET事業」への申請を検討します。
さらに、申請範囲や追加アイテムを検討して、補助金が採択される可能性を高めます。
申請の体制づくりや書類の準備はそれからの作業となります。
先述した今回限定の大型補助金制度も控え、せっかくのちゃんすを見逃す手はありません。
ぜひ各省庁の設備導入支援事業の最新情報をチェックし、挑戦してみませんか。
静岡冷工の冷凍・冷蔵設備、補助金等にご興味をお持ちの企業様はお気軽にお問い合わせください。
静岡冷工の冷凍機、空調設備などに関するご質問、ご相談などお気軽にお問い合わせください。